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p.7 hitosato vol.3特集 伝統の里山を未来につなぐ にほんの里100選に選定されている黒川。県下では黒川と豊岡市にある円山川流域の2ヵ所のみです。 「円山川流域では、市民団体・住民・企業・行政が協力し、コウノトリの餌場となる湿地や耕作放棄田の修復・保全に一体となって取り組む体制ができていると聞いている。黒川の場合はクヌギ林の保全がそれにあたると思うので、そのような地域づくりができたら理想的だ」と大門さん。 同じように地域住民、森林ボランティア、行政、そして企業が一丸となって保全活動に取り組んでいけたらと考えています。 黒川・桜の森の整備活動が一段落した現在は、菊炭の原料となるクヌギの伐採や黒川周辺の放置林を整備をするために、地主さんと話し合いを繰り返しています。 しかし、菊炭友の会が炭焼きをするためのクヌギ林が簡単には見つからない状況になっています。「放置林を自分たちが整備すれば、健全なクヌギ林に再生させることができる」と言うのがメンバーの思いのようです。 「住民のみなさんと私たちのような森林ボランティアの連携が進めば、適切にクヌギ林の保全を進められると思う。だから、いち早く住民の皆さんと黒川の里山林の保全について一緒に考えていける体制を作っていきたい」と、大門さんは力強く話してくれました。 黒川・桜の森で整備活動を始めてから今年で丸7年を迎えた平成26年1月5日の山開きのこと。 大門さんは、集まった菊炭友の会の会員や、黒川自治会の役員の皆さんに、こう話されたのです。 「黒川・桜の森で保全活動を開始して以来、住民の皆さんと整備活動を共にする機会に、なかなか巡り合えなかった。それが、心残り。黒川・桜の森がこのように整備され、微笑み桜と名前が付けられた立派なエドヒガンが再生し有名になって、桜の森に、そして黒川に脚光が当たり多くの観光客が訪れるようになった。集落の中でも「黒川」に対する意識が良い方向に変わってきたのではないかと感じます」と。 そして、今西自治会長、畑中副自治会長もこうお話しされました。「今でも、菊炭友の会の活動を理解している住民は、100%ではない。でも、少しずつ知って理解してもらえるように自治会としても応援していきたい」と。 黒川の未来を想う気持ちは誰も同じ。やり方が違うだけ。 「日本一の里山」ともいわれる黒川の未来を、少し垣間見ることができました。クヌギの整備もなかなか一筋縄ではいきません。こちらは自然が相手。予想もしない害虫と戦いながらクヌギの整備を進めています。必要に応じて専門機関と連携して勉強会を開いています。黒川・桜の森のお正月行事「山開き」で交流を深める大門さんと黒川自治会会長の今西さん。3月下旬から4月上旬になるとエドヒガンが咲き乱れます。炭焼きに向けクヌギを伐採。

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