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hitosato vol.3 p.10 できることからひとつずつ 「皆さんから﹃日本一の里山﹄と言っていただけるのは大変うれしいことだけれど、本音を言うと胸をはって日本一と言える状況になっていない」と、今西勝自治会長は、胸の内を話してくれました。 今年、自治会の共有林の整備を数十年ぶりにやろうとしたが、人手が集まらずに結局業者にお願いすることになったこともお聞きし、現状はますます深刻になっていると感じました。少子高齢化で村の活力が衰えていることに加えて、山に対する意識が薄れていることもあり、一筋縄ではいかない状況のようです。 「森林ボランティア団体や企業の皆さんによって、黒川にある里山の一部を守っていただいているにも関わらず、自治会としては、なかなか満足のいく行動ができていない」と今西自治会長は続けます。 「村の一人ひとりが、自分が保有している山に興味や関心を持っていけるような取り組みをしていかなければならない。黒川という場所は、伝統や歴史から見ても将来にわたり里山とは切っても切れない関係にある。黒川がそのようなところであることに一人でも気付いてほしい」と話してくださり、今西自治会長の心の叫びが届いてくるようでした。 今年は、旧正月の伝統行事である「とんと焼き」を忘れないようにと願い、平日ではあるけれども、本来の15日に行いました。自治会活動にも少しずつ変化が出ています。 課題はいくつもあるけれど自治会長として目の前の課題にして率先して動くことを大切にされている今西自治会長。 そのようなことが実を結び、二つのことが大きく前進しました。 一つが、黒川の景観を汚していた、不法投棄された廃棄物の山を撤去し、駐車場を整備したことです。 もう一つは、環境学習やハイキングで「黒川・桜の森」周辺に訪れる人たちの利便性を向上するためにバイオトイレを整備・設置したことです。 これらは、黒川自治会はもちろん、土地所有者や阪神北県民局、川西市のスムーズな連携によって実現できました。 次はどのようなことに取り組まれますかと聞くと、「いかに子どもたちが黒川に帰って来てくれるかを考えていきたい。そのためには、現在、休校になっている黒川小学校(現・黒川公民館)の有効利用が重要なポイントだ」と今西さんは話します。 自分たちが子どもの頃は、山・川で遊ぶことが当たり前だった時代。自然と触れ合う機会が少なくなる現代の子どもたちが、自然と触れ合い、かけがえのない思い出をつくる場として黒川がなれば︙と、様々な思いが今西さんに駆け巡っていました。黒川自治会︙現在は黒川公民館として利用されています。自治会で里山林の整備平成26年の「とんと焼き」100年以上前に建てられた旧黒川小学校。

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