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hitosato vol.3 p.14 丸山湿原の成り立ち 里山林の利活用とともに生まれた 丸山湿原は、宝塚市の北部に位置する西谷地区にあり、5つの湿原からなる湿原群です。県下一の面積を誇る湧ゆうすい水湿原︵泥などの積み重なりがなく、湧水によってゆっくりと広がった湿原︶で、湿原に特有のさまざまな生き物がみられる非常に貴重な場所になっています。 そのため、現在では「地域の宝物」として、地元住民、企業、行政などが一緒になって丸山湿原を未来に残していくための取り組みが進められています。CHECK 丸山湿原には1mの深さまで シルトを主体とする地層が続いており、最深部に含まれる炭化していない植物片の年代測定が300~400年前であることから、湿原が本格的に発達したのは江戸時代以降と考えられています。 江戸時代になると湿原周辺の里山林は人の生活のために活発に利用されるようになり、絶えず落ち葉や柴が刈られて、土壌がやせて「はげ山」化しました。 また、丸山湿原周辺の地質は凝灰岩(火山から噴出された火山灰が積もってできた岩石)からなっており、「はげ山」化により風化した凝灰岩は非常に細かいシルトとなって降雨により谷底に溜まり、水が溜まりやすく湿潤なところになりました。 特に丸山湿原の場合、周辺のはげ山から流入するシルトの量が谷底から流出するシルトの量よりもわずかに多いという絶妙のバランスを保ち続けられたことがここまで丸山湿原が大きくなった要因の一つと考えられています。 このように丸山湿原の成り立ちは、人による里山林の利活用と密接に関わっており、全国的に見ても大変貴重な湿原であると考えられています。丸 山 湿 原①地域の宝物みんなで学ぼう・守ろう※シルト砂より小さく粘土より粗い(※)

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