里山資源の新たな価値の創出とその利活用
新たな里山の利用を考えるにあたり、都会に住む人々のライフスタイルを考える必要があります。人々の生活は機能性を追求した結果、活動の中心は都市へと移り、日常生活において、かつて日本人のこころの原点であった「里山」と接する機会が少なくなってしまいました。
しかし、昨今の人々は心の癒しや精神的な豊かさ、さらには生きがいを求めて再び自然と接する生活が見直されつつあります。効率や利便性よりも心の豊かさを求めるこうした変化から、北摂里山をいかに現代人のライフスタイルと結びつけるかについて検討し、戦略コンセプト「ひと、さと、ずっと。」に則り、活動プランに反映させていきます。
この活動プランのエネルギー源とも言えるのが、北摂里山ブランド、すなわち北摂地域における豊かな里山資源です。これまでの評価や価値を見直し、新しい角度から新たな価値を創出し、北摂里山の魅力を向上させたいと考えています。具体的には、北摂里山の里山資源を「ツーリズム資源」「情報資源」「環境資源」「経済資源」「里育資源」の5つの分野から、新たな役割としてその利活用を図っていきます。
ツーリズムは「行って、見て、歩いて、参加し、体験する」が基本です。北摂里山に近接する都市部の人々を対象に、北摂里山における観光・ツーリズムルートの掘り起こしを行い、ツーリズムのメニューを徐々に増やし、ツーリストのニーズにあわせた「見る・歩く・体験する」プランを用意します。北摂里山の魅力をアピールし、ツーリストを誘致するための仕組みづくりを、阪神北地域ツーリズム振興協議会をはじめ各市町観光協会や旅行代理店等との連携により検討します。
情報発信は、「知って・触れて」が基本です。北摂地域の住民だけではなく、北摂里山に近接する都市部の人々を対象に、北摂里山の魅力を継続的に発信し、各人の北摂里山への関わり方や取組を進めていきます。また、北摂里山の魅力を体験できる場として、都市部における情報発信拠点を、都市部の百貨店や商業施設と連携して検討します。
豊かな生活とは、「住んで、楽しむ」ことが基本です。里山ライフに関心のある方を対象に、北摂里山に短期留学するような感覚で里山での豊かな生活を「住む・楽しむ」仕組みづくりを、北摂里山に住む人々との協働により検討します。
北摂里山の新しい価値は「使えるものを創造する」ことです。北摂里山に埋もれている地域資源を発掘し、北摂地域や都市部の消費者をターゲットに、地域の産業創造や活性化へつながる「使う・創る」仕組みづくりを、地域の商工会議所・商工会、JAや生産者、また地域のアーティストなどと連携して検討します。
子どもからシニア世代を対象に、それぞれのライフステージにあわせ命や心の大切さもまじえた環境学習として「里育=里山+教育」を推進するとともに、研究者に里山保全手法の研究の場を提供するなど、「学ぶ・守る」仕組みづくりを、兵庫県立人と自然の博物館などの研究機関、教育委員会、森林活動ボランティアなどと連携して検討します。